人の骨密度は、20歳頃をピークに加齢とともに減少することが確認されています。
遠い昔でしたら、栄養不足により骨が弱るというのは考えられますが、十分な栄養が取れているのに、骨はもろくなっていくのです。
その結果、現代病の重要な課題である骨粗鬆症になるわけです。
骨が弱るということは、関節が自然に形を崩し、変形することにもつながります。
最善の予防法は何であるのか?
食い止める方法はあるのか?
この記事では、骨密度について詳しく知るとともに、1100万人いると言われる骨粗鬆症にならないための策をお伝えしたいと思います。
目次
骨も新陳代謝している
骨には、骨を壊す破骨細胞と、骨を作る骨芽細胞があります。
この2つの細胞がちょうど良い感じでいると、骨は限りなく正常を保ってくれます。
骨芽細胞<破骨細胞。これだと骨が弱って行く事になります。
自然に骨を壊してしまう病気もあります。
例えば、自己免疫疾患の関節リウマチ、がん細胞による多発性骨髄腫、ホルモンによる骨パジェット病などです。
骨芽細胞>破骨細胞。これだと骨が余分に作られ過ぎてしまいます。
自然に骨を作ってしまう病気もあります。
例えば、大理石病、骨芽細胞腫、先端巨大症などです。
健康な成人では、1年に20%の骨が入れ替わると言われており、約4年間かけて全身の骨が新調されるわけです。骨芽細胞と破骨細胞のサイクル不均衡になると、骨密度が少なくなってしまうのです。
また、骨はカルシウムの塊ですから、体にカルシウムが足りない時は、積極的に骨が溶けてカルシウムを体に供給するようにできています。
骨を作る栄養分とは?
カルシウム・マグネシウム・リン・ビタミンD・コラーゲン性のたんぱく質・そして、紫外線。
カルシウム、マグネシウム、リンは、パンか、麺か、白米などの炭水化物を食べていれば、なんとなく取れています。
ビタミンDは、卵を食べていれば取れています。
コラーゲン性のタンパク質は、肉を食べて入れば、取れています。
今の世の中、昔の「くる病」のように栄養不足でなるとは考えらえません。
足りないとは言え、昔よりは十分に摂取できていると考えられます。
骨密度って何が基準なの?
骨密度は、1平方cmの中に何グラム入っているかで測っています。
20歳~44歳の骨密度を正常な平均値として、その平均値に対してあなたの骨は何パーセントの骨密度なのかを測ります。
そのための指標をYAM(Young Adult Mean)と言います。
骨密度は、骨の場所によって違うのはご存知でしょうか?
腰椎>大腿骨頸部>橈骨(手首)のように、本来ですと腰椎が一番骨密度が高い骨なのです。
骨密度の検査ってどれが良いの?
骨密度の低い人は、レントゲンだけでも正常な骨密度の人より薄く写ります。
そして検査も色々あります。
1、DXA(デキサ)法
エネルギーの低い2種類のX線を使って測定する方法です。全身のほとんどの骨を測ることができます。
2、QUS(超音波)
かかとやすねの骨に超音波をあてて測定します。
骨粗しょう症の検診に用いられることが多く、X線を使用していないため、妊娠中の方でも測定することができます。
3、MD(エムディ)法
X線を使って、手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時に撮影し、骨とアルミニウムの濃度を比べることによって測定します。 診療所などで容易に計測できるため、普及しています。
4、QCT(CT)法
CTを用いて算出する方法で、腰椎の3次元的な骨量を測定できます。
それぞれに良い点、悪い点があるようですが、現在では、DXA(デキサ)法が一番正確であると言われています。
骨が弱ると骨折する
骨の密度が薄くなれば、枯れ木のように折れやすくなるのは当然です。骨折するにしても骨粗鬆症によって骨折しやすい場所があります。
1、背骨(脊椎の圧迫骨折)
2、腕の付け根(上腕骨外科頚骨折)
3、手首(橈骨遠位端骨折)
4、足の付根(大腿骨頸部骨折)
その他にも、くしゃみや咳による肋骨骨折、転んだ時の骨盤骨折(寛骨骨折)などもあります。
腕や手首は、歩行には直接関係ないので比較的大丈夫ですが、治癒するまでの期間に外出を控えるので、体力や筋力が弱る原因となります。
大腿骨頸部骨折は、人工関節や手術の向上により、術後1週間後には歩行訓練が始まります。昔より、骨折してそのまま寝たきりになる人は減っていると言えます。
問題は、脊椎の圧迫骨折です。
コルセットを2ヶ月ほど着用します。骨折が治癒しても変形が残り、動かすと痛みが残るなど、非常に時間を要するのです。
どうしても痛みが消失するまでの約半年間、日常の動きが減少してしまうので、急激に体力、筋力が落ちてしまいます。
骨密度が少なくなり、骨粗鬆症になることで一番恐ろしい事は、脊椎の圧迫骨折をすることだと言えます。
骨粗鬆症の病院での治療法は?
薬には、様々な作用があります。作用別に見てみましょう。
【骨が壊されるのを防ぐ薬】
・ビスホスホネート薬‥‥骨を破壊する細胞の働きを抑え、破壊と再生のバランスを整えて骨を丈夫にする薬です。
・女性ホルモンを補う薬‥‥女性ホルモンであるエストロゲンは、カルシウムを骨につなぎ止めるコラーゲンを助ける働きや、骨を形成する細胞を助ける働き、骨を破壊する細胞を抑える働きがあります。
【骨が作られるのを促す薬】
・副甲状腺ホルモン薬‥‥骨芽細胞を活性化し骨形成を促進させる薬を注射です。
【骨に足りない栄養素を補う薬】
・カルシウム薬‥‥体内にカルシウムを補充し、骨粗しょう症、高リン血症、消化器症状などを改善する薬
・ビタミンD3薬‥‥骨を壊す働きを抑え、さらに、骨を作る働きを促進する効果もあるため、両方の作用によって、骨の作り替えのバランスを調整する薬です。
・ビタミンK2薬‥‥腰痛や背中の痛みが改善するとともに、骨密度の増加や骨折予防効果も多少期待できます。
抗ランクル抗体薬‥‥RANKL(ランクル)というたんぱく質(骨からカルシウムが溶け出す[骨吸収]際に働く細胞の活性化に必要)の作用を抑制することで、骨密度を増加させ、骨粗しょう症に伴う骨折を減少させます。 6か月に1回皮下注射するお薬です。
それぞれの薬にも沢山の種類があり、副作用や他の薬との飲み合わせも様々です。
悪い歩き方では、いくら歩いても骨密度は改善されない
骨密度を上げるには、紫外線に当たり、適度な運動かと言われています。しかし、間違った歩き方をしていても、骨密度は一向に改善されないのです。
悪い例があるのでご紹介します。
その方は、70代の男性で毎日欠かさず1時間ウォーキングしている質より量の人でした。
四国のお遍路さんを2度も経験してるような人です。なのに、骨粗鬆症だったのです。
ある時自宅で寝返りしただけで、脊椎の圧迫骨折をしてしまったのです。
世の中では、骨への刺激が骨粗鬆症を予防すると言われています。
しかし、この男性はウォーキングして、骨への刺激が十分であるにも関わらず、骨粗鬆症になっていたのです。
もう一つ、骨に刺激を与えなかった例もあります。
自転車競技で毎日のように日に浴びているにも関わらず、骨粗しょう症になった例です。
骨に取ってもう1つの重要な細胞である骨細胞というのがあります。
骨細胞からは、ホルモンを出しています。そのホルモンの役目が、「骨を作ろう」「骨を壊そう」という、司令を出しているのです。自転車では骨への衝撃が少ないために、そのホルモンの分泌が低下し、自転車という運動はしていても骨粗鬆症になってしまったのです。
ですから、たらふく食べて、ベランダで日光浴をしていても骨粗鬆症になるということです。
もも裏歩きで骨密度が上がる
下の写真は、2017年この女性が69歳の時の骨密度です。70%
この時から骨粗鬆症の薬、骨吸収抑制剤とビタミンDを飲み始めます。
下の写真は、2018年、71歳。薬を飲んで、1年と2ヶ月、5%上がって、75%
2018年(30年)10月と11月と12月にもも裏歩きウォーキング教室に来て、しっかりマスターしました。
下の写真が2019年3月もも裏歩きを始めて6ヶ月です。15%上がって、90%
さらに、6ヶ月後5%上がり、95%
もう成人の平均骨密度(20歳~44歳の平均値)より、5%低いだけです。
この方は、30分程歩いていました。雨の日や、暑い日は歩いていません。8月は、サボり気味だったのにも関わらず、このような骨密度の改善が見られました。
ウォーキングの時だけではなく、普段の歩き方も変わった証拠でしょう。
もも裏歩きの最大の特徴は、かかとの時間が一瞬である事です。
つまり、かかとの衝撃を最小限に減らす歩き方なのです。それなのに骨密度は上がりました。
という事は、衝撃など要らずに、その代わりの何かをすれば良いと言うことになります。
骨密度を上げる条件とは?
骨は、重みさえ受けていれば良くて、衝撃ではなく、刺激なのではないかと、推測できるのです。
・自転車で骨粗鬆症になった男性は、筋肉を使い、骨に刺激はあったけれども、重みが無かった(抗重力筋)特に、下半身の骨への重み。
・毎日ウォーキングしていた人は、骨に重みは与えていたけれども、刺激が無かった。使えている筋肉が少なかった。このように推測できるのです。
一方、もも裏歩きで骨密度が上がった女性はというと、ウォーキングなので下半身の骨に重みを与えています。
もも裏歩きウォーキングなので、 お尻、もも裏、ふくらはぎ、足裏、下腹部、背筋、インナーマッスル、全ての筋肉を使い、骨に刺激を与えています。
筋肉は、骨にくっついています。
筋肉は、関節にまたがって、骨にくっついています。
骨に刺激を与えるとは、多種の筋肉を強い力で使うことなのです。
使えている時の証拠が、身体より後ろへの大きな歩幅ということになるのです。
悪い歩き方では、もも前の筋肉とスネの筋肉しか使いません。姿勢も悪いので、体幹の筋肉も使っていません。
つまり、使っている筋肉の種類が少ないので、骨に重みは与えていたが、毎日のウォーキングしたところで、骨への刺激としては、わずかだったという事です。
筋肉が骨にくっついている所に、刺激が加わることが重要で、筋肉が収縮することで、くっつく所に張力が発生し、刺激になるのです。
その結果、骨からホルモンが出て、骨芽細胞が働いてくれるのです。
もも裏歩きウォーキングによって骨密度が上がった理由は、
骨への衝撃でなく、
・骨が重力を感じている重み
・骨がたくさんの筋肉で引っ張られる刺激
この二つによって、驚異的に、骨密度が回復するものと思われます。
ですから、近年、流行っているかかと落としは、かかとの骨を痛めるだけで、無意味とも言えます。かかとが痛くなりウォーキングができなくなることが一番の危険性でもあるのです。
この記事のまとめ
・骨には骨を壊す細胞と、骨を作る細胞がある
・1年に全身の骨の20%が生まれ変わる
・現代では、骨への栄養は十分に取れている
・骨密度は20歳~44歳の人の平均値を基準とする
・骨密度測定の検査法が4つほどある
・骨粗鬆症になると骨折しやすい場所がある
・飲み薬や注射により、進行を遅らすことができる
・間違った歩き方では骨密度は上がらない
・自転車では骨密度は上がらない
・もも裏歩きウォーキングをして20%骨密度が上がった人がいる
・骨密度を上げる要素は、骨への重みと、骨への刺激である
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